人間と人間との関係が複雑に絡み合う現代社会にあって、倫理的問題をどのように理解すべきかは、社会を構成する全ての成員にとって喫緊の課題である。本講義では、個別的な社会問題に指針を与えるのではなく、倫理学的な問いの立て方、その奥にある議論の筋道を根本にまで遡って検討する。   

 現代科学の発達に伴って、かつては考えられなかったような生命倫理上の問題が生起している。このような具体例を検討しているテキストを土台に、我々の命とは何か、どのようにそれと向かい合うべきかを考える。   

 宗教は、あらゆる時代において人類の世界観・価値観の根底を形成してきた。生きること、死ぬこととは何なのかを追及してきた宗教のありかたを理解することは、ますます複雑化する現代社会において、必須の教養である。この講義では、特定の宗教・思想の紹介というよりは、宗教そのものを構成する諸要素を構造的に把握する。

 哲学とは、根源的にあらゆる問題の根底に横たわるものを明らかにするための、諸学の基礎である。それゆえ、将来どのような専門に進む学生にとっても、およそ学問的態度を身につけるための必須の訓練と言えよう。
 この講義の目標は、受講者が自らいかなる前提にも常識にも拘束されずに、厳密にかつ徹底的にものごとを考え抜くことが出来るようになることである。したがって、与えられた知識を受動的に受け取るだけでは、参加する意味はない。積極的に自らトレーニングする参加者に対しては、その手助けとなるつもりである。