日本は、国土の約7割を中山間地域が占める。農業・農村は、水資源涵養等の多面的な機能に加え、生産額でも全国の約4割を占めるが、傾斜による条件不利地が多いことから耕作放棄地が増加し、その公益的機能の損失が危惧されている。これまで国や自治体による農村への支援策が講じられ、現在「直接支払制度」などの対策が行われているが、地域の農林業を基軸とした住民たちの「内発的発展」により、活性化を図る動きもある。

本講義では、(1)中山間地域の実態とその位置づけをめぐる議論や政策について概観し、(2)政策実施の面から,地域政策の担当者や体験型観光の中間支援事業者をゲストスピーカーとして招致し、中山間地域における経済の仕組み(農業・林業)や、再生に向けた内発的な取り組みについて理解を深める。さらに(3)グループワークを通じて、中山間地域において惹起する生活や集落の諸問題を解決しようとする住民の動きを理解する。以上の学習を踏まえ、中山間地域再生に向けた戦略や政策を包括的に理解する。