ランドスケープ・エコロジーとは、地域を⼀つの⽣態系としてとらえ、そこでの⾃然的・社会的要素の相互関係の理解を通じて、望ましい地域環境のあり⽅を検討するための研究分野である。地理学、⽣態学、緑地学の3分野にまたがって発展、近年の地理情報科学の技術的進化により、地域環境計画策定のための理論としてその重要性を増している。ランドスケープ・エコロジーは、フィールド科学に基礎を置くこと、分析的な⼿法よりも総合化する⼿法を重視すること、⾃然・⼈間の動的関係の理解に重点を置くこと、現象解明と問題解決の同時追究を⽬指すこと、といった特徴があり、現在の環境問題の解明と解決を⽬指す環境学の⼀分野として確⽴しつつある。本講義では、⽇本およびアジア、ヨーロッパ、北⽶など世界各地の研究事例(講義担当者および関連研究者の)を参照しつつ、地理・⽣態・緑地学の基礎知識も復習しながら、ランドスケープ・エコロジーの研究成果と環境保全への応⽤について臨場感を持って概説する。